バイタルサインに関する介護職の仕事

介護職の仕事は、高齢者や障碍者など介護サービス利用者の生活介護と身体介護だけではありません。介護職に携わる者は、利用者の健康状態を常に把握し、容態に異変があればすぐに医療従事者に相談しなければならないのです。数ある介護施設の中には医療従事者が常にいる施設もありますが、それでも数多い利用者の健康状態を管理するためには介護職員の協力も必要になってきます。特に老人ホームなどの居住施設の場合には、毎日利用者の健康状態を確認する作業が必要です。

利用者の健康状態をチェックする方法として、バイタルチェックがあります。バイタルチェックとは、利用者のバイタルサインを計測して反応や数値を調べ異常がないか確認することです。バイタルサインとは生体の示す兆候のことで、心拍数や体温など誰でも測定することができるものから、心電図や酸素飽和度など専門的なチェック方法を要するものまで多岐にわたります。介護職は少なくとも介護現場におけるバイタルサインの基本を理解し、簡単な機器で測定できる心拍数や体温などをもとに異常がないかの確認くらいはできるようになっておく必要があるでしょう。

また体温や血圧だけでなく、疾病を抱える高齢者には他のバイタルチェックも必要です。呼吸回数や意識レベルは、測定機器がなくても計測可能です。呼吸は心肺機能を確認するうえで重要なチェックポイントで、呼吸回数だけでなく呼気と吸気のリズムや呼吸の深さなども調べなければなりません。意識レベルは覚醒状態の確認のことで、意識が朦朧としていないか声かけや身体への刺激による反応をみて確認します。介護職はこうしたバイタルサインを日頃から継続して計測し、些細な変化にも気付いて重篤化を防ぐ努力を怠ってはなりません。